釣り糸が原因と思われる片足のないウミネコ=東京・上野の不忍池、樋口広芳さん撮影
足を失ったり、エサがとれなくなったり。捨てられた釣り糸がからまる野鳥の被害が後を絶たない。10日からの愛鳥週間を迎え、保護団体や研究者が「釣り糸は必ず持ち帰って」との呼びかけを強めている。
豊かな緑が残る神奈川県葉山町。鳥の生態を長く研究してきた慶応大学の樋口広芳特任教授は4月、町内の森を出たところで、数メートル先に歩き方がおかしなハクセキレイを見つけた。双眼鏡で見ると、片足の先がなく、丸く固まっている。釣り糸が絡まった足の先端が壊死(えし)したようだ。
化学繊維で作られた釣り糸は野鳥の力で切ることは難しい。逆に、もがくほど釣り糸が締まってしまうケースもあるという。樋口さんは「体に絡まった糸が木にかかって死んでしまう例もある」と話す。
日本鳥類保護連盟の活動報告によると、昨年までの5年間だけで長崎、山口、京都、静岡、新潟、神奈川、東京などで、ウミネコやシギ、ハト、カモ、サギなどの被害が確認されたという。