閉鎖中の東海大阿蘇キャンパス=2016年12月7日、熊本県南阿蘇村河陽、東野真和撮影
熊本地震で被災して閉鎖中の東海大学阿蘇キャンパス(熊本県南阿蘇村)について、東海大学(東京都)は24日、全面的な再建を断念すると発表した。今後は利用可能な農場などを再整備して2018年度以降に実習などに使い、講義は当面、熊本キャンパス(熊本市)で実施するという。
阿蘇キャンパスには農学部と大学院農学研究科があり、熊本地震前は約1千人が学んでいた。地震の被害を受け、大学は16年7月から2年間は暫定的に講義を熊本キャンパスで、実習を熊本県合志市の県施設などで実施すると決めていた。
発表によると、阿蘇キャンパスの地盤を調べた結果、建物の直下をはじめ各所に断層が走っていた。少なくとも断層の上には建物を新たに建てることができず、全面的再建は不可能と判断した。今後は阿蘇キャンパス内の農場や放牧地を中心に継続利用可能な部分を再整備し、実習や卒業研究などに使うという。
会見で山田清志学長は、熊本キャンパスの講義について「恒久的な決断には至っていない」と発言。実習も「完全に向こう(阿蘇キャンパス)となるか、まだ分からない」と話し、将来の扱いには含みを残した。
熊本地震で阿蘇キャンパスは講義棟1号館の地盤が傾き、館内の事務所に亀裂が走り、階段が損壊した。
また、キャンパスに近い南阿蘇村のアパートが壊れ、学生3人が犠牲になった。村で暮らしていた学生約700人の多くが熊本市のみなし仮設住宅などに移り、熊本キャンパスに通っている。(小田健司、沢田紫門)
有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。
初月無料につき月初のお申し込みがお得
980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら