オバマ大統領の広島訪問発表から一夜明けた広島平和記念公園。原爆死没者慰霊碑の前には、海外からの観光客も多く訪れていた=11日午前9時19分、広島市中区、青山芳久撮影
日米両政府が10日発表したオバマ米大統領の広島訪問に、民主党からは歓迎する声が出る一方、野党共和党は沈黙を守っている。
特集:オバマ米大統領、広島へ
オバマ氏、27日に広島訪問 現職の米大統領で初
下院議長時代の2008年に広島を訪問した民主党のペロシ下院院内総務は10日の声明で、「広島訪問の歴史的決断は、オバマ氏の勇気や信念があるリーダーシップを大きく示すものだ」とし、「オバマ氏は核拡散を防ぐ世界的な努力を続ける不断のリーダーだ」と称賛した。広島については「深く心を動かされる場所だ」と述べた。他の民主党議員からも「核なき世界」の理念への賛同など、広島訪問を支持する発言が相次いだ。
一方で、イスラム世界との対話路線を強調したカイロでの演説など、オバマ氏の外交姿勢を「謝罪ツアー」などとたびたび批判してきた共和党側からは、目立った反応がない。
オバマ氏の広島訪問は、原爆投下に対する「謝罪」と受け止められた場合の国内からの反発が懸念されていた。そのため、米ホワイトハウスはこれまで、「謝罪」について否定的な認識を明言。今回の訪問発表に際してもローズ大統領副補佐官は「(オバマ氏は)第2次大戦中に原爆を使用した決断についての再評価はしない」と強調した。
米紙ワシントン・ポストは共和党側の沈黙について「なぜ共和党員はオバマの広島訪問にもっと怒らないのか?」と題した記事をインターネットに掲載。物議を醸す発言を繰り返すトランプ氏の存在をあげ、「ドナルド・トランプをリーダーに持つことの恥じらいから相手を批判するのに少し注意深くなったのかも」と皮肉を込めて書いた。(ワシントン=杉山正)
■国連事務総長は「大歓迎」
国連のデュジャリック報道官は10日の定例会見で、「潘基文(パンギムン)事務総長はオバマ米大統領の広島訪問の決断を大歓迎している。事務総長にとって広島の不朽の教訓とは、核兵器を廃絶することだ。核軍縮は国連の最も急を要する目標だ」と述べた。デュジャリック氏は「今回の訪問が核軍縮の必要性についての国際的なメッセージになることを期待する」とした。(ニューヨーク=金成隆一)