韓国で販売された加湿器の殺菌剤を使って子どもを失った父親の金徳鍾さん(左)と、金さんと子どもが写った写真を掲げる支援団体代表=11日午後、ソウル、東岡徹撮影
韓国で販売された加湿器の殺菌剤で200人を超える死傷者が出た問題をめぐり、被害者らの反発が強まっている。最も多い死傷者を出した殺菌剤の製造販売元、英日用品大手レキットベンキーザーの韓国法人が入居するビルの前で11日、被害者らが記者会見し、同社製品の不買運動を国際的に展開する考えを明らかにした。
加湿器殺菌剤で死傷者200人超 韓国検察が本格捜査へ
記者会見した金徳鍾(キムドクチョン)さん(40)は幼い息子を亡くした。金さんらは英国本社に抗議するため訪英したが、最高経営責任者(CEO)は「個人的に申し訳ない」と述べるにとどまり、納得できる謝罪はなかったと批判。「死ななくても一生、酸素呼吸器をつけなければならない。経済的にも個人的にもどれほど不幸なことなのか」と訴えた。
殺菌剤は加湿器の水に入れて、微生物の繁殖や水あかの発生を防ぐために使われる。問題になった殺菌剤には有害な化学物質が含まれており、肺に損傷を起こす被害が続出。2012年に殺菌剤と肺疾患の因果関係が認められ、製品も回収された。
韓国環境省は11日の国会審議で、カーペットの抗菌剤などの用途で使われる化学物質が、人体への影響についてチェックされないまま、加湿器の殺菌剤に使われたなどと説明した。議員からは「これまで政府は何をしてきたのか」といった声が相次ぎ、政府側は再発防止に全力を挙げる考えを強調した。検察当局は11日、業務上過失致死などの疑いで同社韓国法人元代表らの逮捕状を請求した。
同社日本法人によると、韓国で問題になった製品は日本では販売されていないという。(ソウル=東岡徹)