賢島につながる橋の前で続く検問。あちこちに警察官の姿がある=三重県志摩市阿児町神明
主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)まで残り10日となり、全国の警察官が続々と開催地や周辺に配置されている。地元の三重、愛知両県警は大規模動員でサミット警備の中心的役割を担うが、足元では山口組分裂抗争も抱えており、対応に大忙しだ。
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開催地の賢島(かしこじま、志摩市)を管轄する三重県警は20日ごろまでに、全警察官の半分の約1500人をサミット警備に動員する。日常業務では14日以降、OB組織「警友会」の約300人が応援で加わり、交番などで住民対応を始めた。森元良幸・県警本部長は「サミット警備と一般治安の確保は絶対的使命で、確実にやっていきたい」と話す。
各国首脳が使う中部空港があり、インドネシアなどの招待国7首脳が宿泊する愛知県は、サミットの「準開催地」。1日平均100万人超が利用する名古屋駅など重要施設が多く、テロ警戒は大きな課題だ。愛知県警は賢島に動員しない代わりに、県内警備をほぼ単独で担うという。
サミット対応に追われる中、山口組分裂に伴う抗争事件の警戒は、両県警にとって頭の痛い問題だ。
「サミットを控え、我が国の国際的な注目度が高まる中、暴力団による凶悪な事件の続発で大きな不安と危険が生じるような事態を許してはならない」。金高雅仁・警察庁長官は3月中旬、愛知県警本部を訪れて捜査員を前に訓示した。
名古屋市中村区には、山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(74)の出身母体で、6代目山口組の中枢組織「弘道会」の本部がある。分裂して発足した神戸山口組の中枢組織「山健組」(本部・神戸市)傘下の団体も県内には複数あり、地元住民らは緊張を強いられている。