大阪市の長居公園で2012年8月、野外コンサートに向かっていた女性(当時22)が落雷で死亡した事故で、主催した2社に遺族が計約8200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であり、長谷部幸弥裁判長は「会社側に保護義務はなかった」として訴えを棄却した。
亡くなったのは北九州市の会社員岩永牧子さん。父浩美さん(54)と母和子さん(56)が、「エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ」(東京都)などを訴えていた。
判決などによると、公園の陸上競技場で12年8月18日、「EXILE」などが出演するコンサートがあった。同日午後2時ごろ、牧子さんは会場に向かう途中で豪雨に降られ、グッズ販売などをしていた場所から約200メートルの木のそばに移動。午後2時10~15分に雷が落ち、意識不明の重体となり翌日、死亡した。
遺族側は落雷事故は予想できたとし、「コンサート会場や、主催者が設定した会場へのルート上にいる園内の客を避難誘導する義務を怠った」と訴えていた。
これに対し、判決は「野外での落雷回避はもっぱら自己責任で行うもの」と指摘。事故現場が主催者の管理下にはなかったことに加え、会社側は具体的に落雷を予見できなかったと結論づけた。
判決後、浩美さんは記者会見し、「会社側の『会場の外は管轄外』という主張に納得いかない。控訴するか検討する」と話した。(釆沢嘉高)