水槽の上に並ぶ解説「魚歴書」。いずれも飼育員による手書きだ=愛知県蒲郡市の竹島水族館
愛知県蒲郡市にある竹島水族館。狭くて、古くて、入館者数の落ち込みから一時は存続が危ぶまれた時期もあった。だがカネはないなりに知恵と工夫を凝らしてこの5年でV字回復を果たし、2015年度の入館者数は1991年度をしのぐ過去最高を記録した。今年7月には開園60周年を迎える水族館が人気スポットに生まれ変わった「カイゼン」とは?
竹島水族館(愛知県蒲郡市)の館内に入ると、水槽「さわりんぷーる」が目に飛び込んでくる。5年前に作った自慢の目玉施設。中にいるのはオオグソクムシやタカアシガニ、イガグリガニなど深海に暮らす生物。秋から春にかけて、入館者は水槽に手を直接入れて自由に触れることができる。夏は三河湾の生物に入れ替える。
同水族館には、名古屋港水族館などにあるような1千トンクラスの大水槽もなければ、シャチのような大型生物もいない。展示しているのは近くの三河湾、遠州灘で取れた生物を中心に常時約500種類、4500匹。うち深海生物は100種類以上と全国屈指の数を誇るのが自慢だ。
入館者数は、バブル期と重なった1991年度の29万7383人をピークに、以後は減少傾向で05年度には12万3364人まで落ち込んだ。当時、運営していた市は、赤字経営を問題視し、閉鎖を検討したこともあった。