4日のソフトバンク戦で2度のボークを取られ、激高する日本ハムのマーティン(右)=白井伸洋
■スコアの余白
いま、ファイターズ担当は祈りながら見ている。「動かないで」。今季からリリーフ陣に加わったマーティンが投げるときだ。16日現在のボークはリーグワーストの三つ。4日の試合では2球続けてとられ、声を荒らげる場面もあった。
スコアの余白2016
マーティンは走者がいてもいなくても、セットポジション(セット)で投げる。セットに関し、公認野球規則では「投球する前には完全に静止すること」と定められている。マーティンの場合、審判から「静止していない」、と判断されているのだ。「静止」が苦手な外国人投手は多く、ポレダ(巨人)も昨季は6ボークだった。
なぜ静止しなければならないかというと、野球は投手主導のゲームだから。投手は自分の意図で投げるタイミングを決められる。せめて一瞬でも静止することで走者へ、「打者へ投げるか、牽制(けんせい)しますよ」という意思を伝えるのだ。
しかし、どうして外国人投手はセット時の静止が苦手なのだろう。元パ・リーグ審判で、米・マイナーリーグでもジャッジ経験がある日本野球機構の平林岳・審判技術委員に聞いてみた。答えはちょっと意外だった。
「米国の野球で、盗塁が軽視されるようになったからです。盗塁が重視されていたころは、審判も厳しくみてたんです。いま、米国は甘い。日本は世界一厳しいでしょうね」
つづく(山下弘展)