大阪府阪南市立の4幼稚園と3保育所を全廃し、旧家電量販店の店舗を改修して大規模な認定こども園を造る市の計画に対し、疑問を抱く子育て中の母親らが18日、住民投票の実施を求める約1万2600人分の署名を市に提出した。
7幼保1カ所に集約へ 阪南市計画、市民に戸惑い
母親らは「住民投票実施を市長に請求できる」とした市自治基本条例に基づき、4月1日から署名活動を開始。市内在住の18歳以上を対象として、1万2683人分を集めた。市の人口は5月1日現在で5万6259人。
この日は約150人の母親らが「市民の声を聞いて下さい」と声を上げながら市役所付近を行進。市の担当者が署名を受け取った。市側は「住民投票はできない」との姿勢だ。2009年施行の同条例では住民投票実施に必要な事項を「別に条例で定める」としているが、この条例が策定されていないためだという。署名の扱いなどについては、19日以降に福山敏博市長がコメントする予定という。
署名活動をした川上久美子さん(33)は「これだけの疑問の声があることを受け止めてほしい。市側が良い計画だと思うなら、住民投票で市民に聞いてみるのが一番早いはずです」と話した。
市は昨年12月の市議会全員協議会で、老朽化や耐震不足を理由に、7施設を全廃し、閉店したヤマダ電機阪南店を改修して定員約630人の幼保連携型認定こども園を造る計画を説明。市民には同月下旬から配布した広報誌で知らせた。総事業費約15億6千万円で、18年春の開園を目指す。
建物購入費を含む関連予算案は今年の3月議会を通過したが、母親らは、感染症拡大の懸念や自然が乏しい場所への集約、異例のスピードでの決定などに反発し、住民投票で民意を問うよう求めてきた。(中川竜児)