米国のトランプ大統領は中米経済関係のデカップリング(切り離し)をするとしばしば威嚇し、在中国米国企業に米国国内に戻るよう駆り立てている。しかし上海米国商会がこのほど在中国の米国企業に対して行った最新の調査によれば、大多数の企業は大統領の提案に興味を感じていないという。「環球時報」が伝えた。
香港紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」の9日付報道によると、同商会が同日に発表した調査の報告で、調査に回答した在中国の米国製造業企業200社あまりのうち、「事業の一部を米国に戻す計画」としたところはわずか4.3%だった一方、「中国市場から撤退する計画はない」が92.1%に上った。また75%以上が、「生産を中国から移転させるつもりはない」とし、「事業の一部を第三国に移転する予定」は14%だった。
同商会のカー・ギブス会長は、「たとえ移転するとしても、東南アジアが最も一般的な移転先であって、絶対に米国に回帰するのではない。中国経済の復興ペースは速く、米国企業は引き続き中国の消費市場を巨大なチャンスとみている」と述べた。
英国紙「フィナンシャル・タイムズ」の9日付報道では、中国経済はすでに新型コロナウイルス感染症の大規模流行から回復した様子だという。中国の税関総署が今週発表したデータをみると、8月の中国の輸出は前年同期比10%近く増加し、中国経済が感染症から急速に回復する様子がはっきりとうかがえる。ここ数ヶ月間で、中国が世界の輸出に占める割合は一気に上昇して17%を超え、19年の14%を上回った。「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙によれば、米国企業の85%が中国に進出して10年以上経ち、5年未満は4.6%にとどまる。ここから米国企業が中国で事業を展開する現実の中で鍛えられてより強固になり、市場や地政学の短期的な変動による影響をあまり受けないことがわかる。また今回の調査でわかったのは、大多数の企業に中国でのリストラ計画はないことで、3分の2以上が「社員を現状維持とするか増員する」と答えた。「急速に悪化する中米関係が目下の最大の懸念材料」とした企業も3分の2を占めた。
「フィナンシャル・タイムズ」は、「今週の早い時間に、トランプ大統領は世界で最も大きく、緊密に融合する2つのエコノミーのデカップリングへの情熱を再三表明し、「我々は(中国と)ビジネスをしなければ、数十億ドル(1ドルは約106.2円)の損をしなくてすむ」と述べた。これについて米国に本部を置くコンサルティング会社のユーラシアグループのクリフ・カプチャン会長は、「中米経済はすでに各方面で深く融合しており、軽々しくデカップリングすることができない」と述べ、米国の前政府関係者であるエバン・メデイロス氏は、「トランプ大統領の中国政策と米国ビジネス界の考え方がどんどん離れていき、それぞれ反対の方向に向かって進んでいる」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年9月11日