ソニーは24日、熊本地震の発生で遅れていた2017年3月期の業績予想を発表した。工場の被災によるマイナス影響は1150億円にのぼりそうだが、ここ数年のリストラで稼ぐ力が戻り、営業利益は過去6番目の高水準になる。本格的な「復活」に向け、新製品開発にも積極的だ。
売上高は前年比3・8%減の7兆8千億円を見込む。純利益800億円は、オリンパス株を売った前年より半減するが、2年連続の黒字を見込む。
4月の熊本地震では、カメラ用の画像センサーなどをつくる半導体工場(熊本県菊陽町)が被災で停止した。この影響で、営業損益が画像センサーなどの半導体事業で600億円、センサーをつかうカメラ事業で450億円減る。工場は5月21日に生産を再開し、8月末には全面復旧できる見通しという。
17年3月期は、進めてきたリストラによる損失が一段落する。例えば携帯電話事業は3年ぶりに営業黒字になる。ソニーの代名詞ながら赤字続きだったAV事業も、テレビやオーディオを高価格帯に絞って利益が出るようになった。記者会見で吉田憲一郎副社長は「商品力はかなり上がってきた」とした。
課題は、唯一の赤字となる半導体事業だ。400億円の営業赤字を見込む。スマートフォン向け画像センサーが好調だった15年3月期は886億円の営業黒字で事業別でも稼ぎ頭だったが、世界的にスマホの需要が落ち、さらに熊本地震が追い打ちをかけた。モルガン・スタンレーMUFG証券の小野雅弘アナリストは「車載カメラ向けなどにも広げることが重要」と指摘する。