JR東海は、2045年を予定していたリニア中央新幹線の大阪延伸時期を前倒しする検討に入った。政府はリニア建設を後押しするため、財政投融資制度を使った低利融資を検討しており、それによって金利負担が減ることを見込んで工事を予定よりも早めたい考えだ。
JR東海は、東京・品川―名古屋間を27年に開通させ、45年に大阪まで延伸する計画を立てている。国の資金に頼らず建設する予定で、JR東海は長期債務を5兆円以下にとどめる考えだ。そのため、事業費5・5兆円と見込まれている品川―名古屋間の工事完成後、8年間は大阪までの延伸工事を着工せず、借金返済に専念する予定だった。
だが、政府は今月末にまとめる来年度予算編成の指針「骨太の方針」に、財政投融資制度を通してJR東海に低利で貸し付けることを盛り込む方向だ。関係者によると、今秋にも財政投融資計画を変更し、正式導入する見通しという。これを受け、JR東海幹部は取材に対し、「大阪延伸前の工事のつなぎ目(中断)をできるだけ無くしたい」と明らかにした。
ただ、一昨年始まった名古屋までの工事は、東京五輪による建設作業員不足などで遅れ気味という。そのため、大阪までの延伸が予定の45年から何年前倒しできるかは不透明だ。