大阪市内の動物病院で過剰な輸血をされ、愛犬が死んだとして、飼い主の家族3人が病院の運営会社に計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁(小池明善裁判長)であった。判決は不適切な輸血で死を招いたと認め、病院側に慰謝料など計33万円の支払いを命じた。
訴えていたのは市内に住む夫妻と長男の3人。愛犬は小型犬パピヨン(当時12、体重4・6キロ)で、生後間もないころから家族同様に思い、飼い続けてきたという。2012年5月に動物病院で内臓腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受け、入院。5日後に約2時間45分にわたって輸血を受け、その後に容体が悪化して死んだ。
大阪地裁は判決で「病状から考えて、輸血は量と速度のいずれも通常を超える条件でされていた」とする獣医師の鑑定結果を採用。「容体に適した量や速度の輸血をすべき注意義務に違反した」と指摘し、病院側に過失があるとした。ただ、犬が末期がんの状態で手術の予後も良くなかったことなどを考慮し、賠償額は計33万円にとどめた。
判決を受け、原告は「犬は返ってこないが、裁判所の判断をうれしく思っている。適切な輸血方法が獣医師の世界で広がり、ほかの飼い主が同じ思いをしなくて済むようになってほしい」と話した。