会談後、共同記者会見するベトナムのフック首相(左)と安倍晋三首相=時事
安倍晋三首相は28日、主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の拡大会合に招いたアジアやアフリカなどの6カ国の首脳と個別に会談した。南シナ海への進出を強め、アフリカ各国に影響力を拡大している中国を一層牽制(けんせい)する狙いがある。
安倍首相はベトナムのフック首相と首相官邸で会談後、共同記者会見で「海上の法の支配実現のため、新造巡視船供与に向けスピード感をもって取り組む」と述べた。新造船2隻、中古船8隻の供与を検討している。防衛分野でも協力関係の強化で合意した。南シナ海で中国と領有権を巡って争うベトナムを支援することで、同海域での存在感を高める目的がある。
安倍首相にとってG7での外交分野の最大の眼目は、首脳宣言に海洋の安全保障を巡ってどれだけ強い文言を盛り込めるかだった。自身の提唱する「国際法に基づく主張」など3原則を「G7の共通認識」とうたい上げ、27日の拡大会合でも「世界経済の発展にはアジアと世界を結ぶシーレーン(海上交通路)の安全、自由の確保が死活的に重要だ」と訴えた。