東京地裁に入る、清原和博被告が乗っているとみられる車両=31日午後0時15分、東京・霞が関、金川雄策撮影
元プロ野球選手の清原和博被告(48)に対し、東京地裁が31日に言い渡した判決の要旨は次の通り。
清原和博被告に執行猶予付き有罪判決 東京地裁
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【主文】懲役2年6カ月、執行猶予4年。覚醒剤を没収。
【罪となるべき事実】
被告は①2015年9月1日ごろ、群馬県太田市内のホテル客室内で、知人から覚醒剤の結晶1・2グラムを8万円で譲り受けた②16年2月1日ごろ、東京都港区のホテル客室内で、若干量の覚醒剤を気化させて吸引して使用した③同月2日、同区の被告方で、覚醒剤約0・203グラムを所持した。
【量刑の理由】
被告が譲り受け、所持した覚醒剤は少量とはいえない上、被告方には覚醒剤成分が付着した複数の注射器等が置かれており、被告の両腕には数カ所の注射痕があったことが認められる。
加えて被告は、08年にプロ野球選手を引退した後に覚醒剤に手を出し、その後医療機関を受診したこともあったが、結局覚醒剤から離れることができず、14年以降は知人から覚醒剤を購入して使用することを繰り返す中で本件に至ったというのであり、このような覚醒剤使用歴や、犯行当時の覚醒剤の使用量や使用状況をあわせ考えると、被告の覚醒剤に対する依存性、親和性は顕著かつ深刻で、常習性も強いといえる。
被告は引退後は目標を失い社会生活のストレスやひざの故障に苦しみ、プロ野球の監督等にもなれないといった心の隙間を埋めるため覚醒剤に手を出し、薬物疑惑報道後の仕事の減少や妻子との離別による孤独感等を感じた際に覚醒剤を使っていたなどと供述するが、覚醒剤が乱用者本人だけでなく、社会全体にも害悪をもたらすことは広く知られた事実であるから、被告が述べるような動機や経緯を酌むことはできず、犯情は悪質というべきだ。以上によれば、被告の刑事責任は軽いものではない。
他方、被告は事実を素直に認めて反省悔悟の情を示し、二度と覚醒剤に手を出さない旨誓っている。被告の父親や親戚、知人らが、治療に必要な環境を整えることを含めて更生を支援する意向を示しているほか、被告の友人が出廷し、更生に助力していく旨述べている。さらに、被告は、前科前歴がなく、甲子園球場を沸かせ、その後もプロ野球を代表する打者として活躍するなど、野球界において社会的貢献をしてきたが、本件が大きく報道されるなどして厳しい社会的制裁を受けていることなども、被告のために酌むべき事情と考えられる。
以上のような事情を総合考慮すると、被告に対しては、主文の刑を科した上、刑の執行を猶予し、社会内における自力更生の機会を与えるのが相当と判断した。