木内容疑者のアパートで暮らす男性。生活保護費を管理され、「なぜこんな生活になるんだとみじめに思った」と話す=17日、相模原市緑区、天野彩撮影
生活困窮者らに生活保護費を受給させ、金銭管理契約を結んで通帳を預かる事例が相模原市を中心に広がっていることがわかった。不動産会社社長が十数棟のアパートに数十人の受給者を住まわせているとされ、神奈川県警は生活保護費を狙った「貧困ビジネス」とみて、実態解明を進めている。
県警は31日、同市緑区の不動産会社「静興建設」社長・木内忠夫容疑者(62)=詐欺罪で起訴=を業務上横領の疑いで再逮捕する方針だ。
捜査関係者などによると、木内容疑者は金銭管理契約を結んでいた入居者3人が失踪するなどしたにもかかわらず、生活保護費の差し止めを同市に申告せず、2014~15年にかけて百数十万円を横領していた疑いがある。
木内容疑者は路上生活者らに「手持ち金が無く、住宅にお困りの方に一般賃貸住宅を支援致します」などと書かれたチラシを手渡し、アパートへの入居者を募っていたという。生活保護の受給手続きを手伝った後、「金銭管理契約書」にサインをさせ、預金通帳や印鑑などを預かる。月に約4万円の住居費は木内容疑者の会社に入り、別に食費などとして支給される月額7万数千円の生活保護費も管理。入居者には、週に5千円を渡していたという。
木内容疑者をめぐっては、県警が10日、生活保護受給者の銀行口座の通帳をだまし取った疑いで逮捕している。「だましたつもりはない」と容疑を一部否認しているという。