千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年、レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9)が殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた元保護者会長、渋谷恭正(やすまさ)被告(47)の裁判員裁判は18日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で結審した。検察側は「非道で残酷な犯行」などとして死刑を求刑。弁護側は「検察側の立証は不十分」として改めて無罪を主張した。判決は7月6日に言い渡される。
「処罰まで天国いけぬ」厳罰求む遺族 千葉女児殺害裁判
リンさんの父「許せない」 被告は「無実、無罪を主張」
検察側の主張によると、被告は2017年3月24日、登校中のリンさんを軽乗用車で連れ去り、車内でわいせつな行為をした上で首を圧迫し窒息させて殺害。遺体を同県我孫子市の橋の下に捨てたとされる。
公判で検察側は、遺体から被告のDNA型が、被告の軽乗用車の床マットなど8カ所からリンさんの血液が採取されたと指摘。一方、弁護側はDNA鑑定の信用性などを争ってきた。
論告で検察側は、遺体のDNA型について「厳重に管理していた」と、意図的な混入の可能性を否定。「常軌を逸した犯行で、被害者の肉体的、精神的苦痛は甚大。児童を保護すべき立場にあったのにまったく逆の行為に及んだ」「やったことを語ろうともせず、更生の可能性はない」などと厳しく非難した。
これに対し、弁護側は最終弁論で「遺体に付いたDNA以外に証拠はない」とした上で「DNA型鑑定は捜査機関による捏造(ねつぞう)の可能性がある」などと主張。被告は最終意見陳述で「最初から言っている通り、無実、無罪です」と述べた。
父親のレェ・アイン・ハオさん(35)は閉廷後の記者会見で「真実が見えなかったのは残念」と述べた。母親のグエン・ティ・グエンさん(31)は「娘を思い出し、すごくつらく、胸が痛かった」と語った。(寺沢知海、松本江里加)