漱石の顔を再現するため、デスマスクをスキャンする=6日、東京都渋谷区、山崎啓介撮影
夏目漱石が没後100年の今年、よみがえる? 学校法人二松学舎(東京都千代田区)は7日、前身の漢学塾で学んだ漱石のアンドロイドを製作すると発表した。アンドロイド研究の第一人者、大阪大学の石黒浩教授(52)と共同で取り組む。漱石の孫でマンガコラムニストの夏目房之介さん(65)が声で協力する。
孫の房之介さん「笑って」 漱石アンドロイドに期待
二松学舎が来年創立140周年を迎えるにあたっての記念事業。写真や旧千円札で知られる晩年の漱石を再現する。椅子に座った姿で高さ約130センチ、重さは約60キロ。漱石の命日の12月9日ごろに完成させる。
7日に二松学舎大学で開かれた記者会見で、石黒さんは「バラバラに語られていた人物像を一つに集約する試みは、文学的にも非常に意味がある」と語った。
ただ、今回の難題は、漱石と交流した人が生きておらず、動画や音声も残っていないとみられる点だ。
そこで着目したのが、朝日新聞社所蔵の漱石のデスマスクや写真。デスマスクを3Dスキャンして顔を造形し、さまざまな角度の顔が写った写真を見ながらシリコーンで覆う。顔を含め全身44カ所に空気圧を使うアクチュエーター(駆動装置)を入れ、人間に近い動きができるようにする。
デスマスクを3Dスキャナーで読み取る作業が6日、東京都内の製作会社「ケイズデザインラボ」であった。青色のLEDライトでマスクの表面に細い線のしま模様を映し出す。模様のゆがみをカメラで撮影し、パソコンで計算。顔を立体的に再現するのだという。