暴力団からの拳銃押収丁数の推移
指定暴力団山口組の分裂に伴う抗争で、指定暴力団神戸山口組系の組幹部が5月に射殺され、2人目の死者が出た。抗争激化の懸念も高まっているが、こうした事件で使われる拳銃は、どう取引されているのか。複数の暴力団関係者は取材に、抗争続発を背景に拳銃の取引価格が高騰していると明かした。
「『重たいの』を『子ども』つきで手元に置いておかないと安心できない。だが価格が数倍になっている」。「重たいの」は拳銃、「子ども」は実弾を指す。指定暴力団神戸山口組系の組織組長は6月上旬、記者の取材にそう答えた。
神戸山口組は昨年8月、国内最大の指定暴力団山口組から分裂してできた。警察庁によると、両組織の抗争とされる事件は6月14日までに77件あった。5月31日には岡山市の神戸山口組系組織の幹部が射殺され、死者は2人となった。
関東の別の暴力団元幹部によると、組織は平時から拳銃を隠し持っているが、抗争に使う銃はその都度、「武器屋」などと呼ばれる組織から買い付けるのだという。「多くの人間を介して手に入れ、使ったらすぐに処分する。入手経路を警察につかませないため」と元幹部は話す。
拳銃の売買歴があるという元幹部は、山口組分裂後、関西や九州などの山口組と神戸山口組の双方から拳銃調達の依頼を受けたという。「相手は使途を明かさないが、口ぶりから抗争への備えであることは間違いない」。最近では、平時は1丁20万~30万円の拳銃が80万~100万円、1発約7千円の銃弾が1万円でもさばけるという。