選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる参院選(22日公示)で、遠洋漁業などの航海実習に出る全国の水産高校生ら80人が投票できないことがわかった。生徒らは洋上投票ができる「船員」とみなされないためだという。学校からは改善を求める声が上がっている。
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朝日新聞が各地の高校に取材した結果、北海道立小樽水産6人、道立函館水産8人、山口県立大津緑洋6人、福岡県立水産10人、長崎県立長崎鶴洋13人、鹿児島県立鹿児島水産18人、沖縄県立沖縄水産19人の少なくとも計80人が、22日の公示前に太平洋などでの航海実習に出発。いずれも帰港は7月10日の投票日後を予定している。
総務省選挙課によると、公職選挙法施行令で、航海中の船員は公示日翌日から投票日前日までファクスによる洋上投票ができるが、国が発行する船員手帳を持つ人が対象。高校生は船員とはみなされないため、船員手帳を交付されておらず、洋上投票はできないという。総務省の担当者は「制度改正は国会で議論してもらう必要がある。今回は生徒が投票権を行使できないが、やむを得ない」としている。
6月4日~7月21日の日程でハワイ沖で航海実習をする小樽水産(北海道小樽市)の亀山喜明教頭は「せっかく選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたのだから、生徒が与えられた権利を行使できるよう制度を整えてほしい」と話す。文部科学省も実態の把握を進め、総務省などに改善を求める方針。(日比野容子)