2回目のジャンプの結果を待つ高梨沙羅=AP
(24日、ノルディックスキー世界選手権 ジャンプ女子個人ノーマルヒル)
高梨沙羅、今季一番の目標が… 銅に悔し涙「情けない」
伊藤有希が銀、高梨は銅 ノルディックスキー世界選手権
消え入りそうな小さな声で、高梨は反省の言葉を口にしながら涙を流した。「大事な試合に合わせていく力が、自分には一番足りないものだと思う」
1回目は「まずまず良いジャンプが飛べたかなという感触はあった」。98メートルで2位。1位との差は飛距離換算でわずか約1・5メートルだった。
逆転を狙った2本目。「力み過ぎた結果、バランスを崩した」。95メートルと伸びずに銅メダル。「またやってしまった。悔しいというより、落胆。同じことを繰り返してる自分が情けない」
ワールドカップ(W杯)では男女を通じて史上最多に並ぶ53勝を挙げ、個人総合優勝は4度。他を圧倒する力を持っているのに、五輪、世界選手権は今回を含めて計5度挑んで優勝ゼロ。
大一番では、毎回のように実力を発揮できない理由について、高梨は内面の弱さを自覚している。「自分をコントロールし切れていない」。失敗した2回目は、助走から踏み切り、空中姿勢、着地に至るまで「全体で硬さが出た」という。「どんな状況でも自分を保って、リカバリーできるのが本当に強い選手」と話す理想像は遠く、「良いところを見せたいという気持ちで、自分のやるべきことを見失った」。
平昌五輪まで、あと1年。「今後、もっと深く根本的なところから変えないといけない」
試行錯誤は続く。(吉永岳央)