ローマ市長の座を争うラッジ候補=山尾有紀恵撮影
イタリアで19日、ローマやミラノ、トリノを含む市長選の決選投票があった。欧州連合(EU)主導の政策に懐疑的な野党「五つ星運動」の候補がローマ市長選で優勢となるなど、与党・民主党(中道左派)への不満が顕著に表れ、レンツィ政権の行方に暗雲が漂っている。
投票は同日夜(日本時間20日午前)に締め切られ、即日開票される。ローマでは、5日の第1回投票で民主党候補を引き離して首位に立った「五つ星運動」のビルジニア・ラッジ候補(37)に勢いがあり、初の女性市長が誕生する公算が大きい。マリーノ前市長(民主党)が昨年、公金横領疑惑で辞任したことに対する市民の怒りを追い風に、反腐敗や2024年オリンピックの市への招致反対、ゴミ収集や公共交通の改善などを訴える。
ラッジ氏が所属する「五つ星運動」はお笑い芸人ベッペ・グリッロ氏らが創設し、反緊縮、反ユーロなどを旗印に13年の総選挙で躍進。ラッジ氏自身はこうした主張から距離を置くものの、「五つ星運動」がローマで勝利すれば、欧州のEU懐疑派に勢いを与えそうだ。
また、今回の地方選は10月に上院改革の憲法改正案を国民投票にかけるレンツィ首相にとって、試金石だとみられていた。だが、民主党は第1回投票で、勝利を期待したミラノ市長選でも苦戦。レンツィ氏は対策を迫られている。(ローマ=山尾有紀恵)