参院選公示前の最後の日曜となった19日、与野党9党の党首が論戦を本格化させた。安倍晋三首相(自民党総裁)や民進党の岡田克也代表ら9党首はこの日、テレビの報道番組にそろって出演し、憲法改正やアベノミクスの是非などをめぐり舌戦を繰り広げた。
特集:2016参院選
19日、フジテレビ「新報道2001」に続くNHK「日曜討論」では、憲法改正に議論が及んだ。首相は憲法のどの条文を改正するかは衆参両院の憲法審査会で議論すると主張。また「憲法改正は国民投票がまさに主役だ」と語り、議論を国会に委ねた上で国民の理解を得る考えを示した。
これに対し、民進党の岡田氏は「安倍さんは(参院議席の)3分の2を取れば必ず憲法改正をする。許してはいけない」と強調。首相が最近の街頭演説で憲法改正に触れていないことを取り上げ、「選挙に不利かもしれないと争点隠しをしている」と批判した。
首相は「どの条文を改正するか収斂(しゅうれん)していない。選挙で争点にするには至っていない」と反論。ただ、改正発議に必要な3分の2以上の議席を自公で確保している衆院に加え、参院でも改憲勢力で3分の2以上をめざすのかを問われると「もちろん(3分の2を)構成したい」と述べた。
アベノミクスの評価をめぐっても与野党は真っ向から対立した。首相は有効求人倍率など経済指標を挙げて、「アベノミクスは失敗していない」と主張。これに対し、共産党の志位和夫委員長は「働く人の実質賃金や個人消費はマイナス。経済政策の抜本的転換が必要だ」と訴えた。
消費増税の再延期に伴う社会保障充実策への影響も議論になった。首相は「延期する以上、すべてのメニューを行うことはできない」と語り、公明党の山口那津男代表も「消費税を上げた時とイコールで(充実策を)できるかどうかは慎重に考えるべきだ」と歩調を合わせた。一方、岡田氏は「すでに(充実策として)決まっていることはきちんとやるべきだ」などと迫ったが、首相は優先的に取り組む充実策の具体的な範囲は示さなかった。