入管施設に収容されている外国人に面会し、相談にこたえるボランティアたちが全国各地にいる。主婦や喫茶店の店主、牧師ら、その背景は様々だ。それぞれ独自に活動しているが、面会を通じ、「収容施設では、日本の人権感覚が国際社会から問われる」という共通の問題意識を持つ。各地の面会ボランティアを訪ねた。
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難民・避難民・亡命申請、世界で6530万人
■活動歴は20年
JR牛久駅から車で約15分。人気のない林道の奥に約300人を収容中の東日本入国管理センター(茨城県牛久市)がある。今年3月、記者は面会ボランティアの田中喜美子さん(63)に同行した。同県つくば市で喫茶店を営む田中さんは定休日の毎週水曜日、「ウシク」と呼ばれるセンターに通い、多い日で1日10人ほどと面会する。
待合室に続く廊下は薄暗く、静まりかえっている。4畳ほどの部屋をガラスで二つに区切った面会室で、2人のクルド人男性に会った。面会時間は30分だ。
1人は収容後に病気になり、ふだんは寝たきりだといい、車いすで現れた。片言の日本語で「助けて。お願いします」と訴える。もう1人はいらだちを隠せない様子で「ママ、ここにいるのは大変。分かる?」と訴えた。
トルコ語の単語や例文を記したノートを見ながら田中さんが「大変だよね、病院を探すね」と答える。田中さんは家族との連絡や日用品の差し入れ、弁護士を探すことなど収容者からのさまざまな頼み事に応えている。
当初は知り合いの外国人支援者に頼まれて、センターまで車での送迎を手伝っていたが、「自分も面会してみたい」と活動を始めた。活動歴は20年になる。