被災して、レフト側がブルーシートで覆われた藤崎台県営野球場=8日午前11時50分、熊本市、朝日新聞社ヘリから、森下東樹撮影
第98回全国高校野球選手権熊本大会が、7月10日に開幕することが21日決まった。例年、メイン球場として使う藤崎台県営野球場(熊本市中央区)が、熊本地震で一部破損し、使用が危ぶまれていた。調査をしていた熊本県がこの日、7月10日からの使用再開を発表。これを受けて県高野連が日程を決めた。決勝は25日の予定。全国49代表を決める地方大会の日程がすべてそろった。
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県によると、藤崎台は左翼スタンドのフェンスの根元が約80メートルにわたり崩れ、メインスタンドの屋根を支える鉄骨の一部も曲がるなどしたことから県が耐震性などを調査。7月7日に応急工事が完了する見通しが立った。ただ、安全確保のため、左翼側芝生席や内野スタンドの一部は大会中も閉鎖。収容人数は約1万5千人から約1万2600人に減るという。
藤崎台は1960年に完成。80年には八代高の秋山幸二(前ソフトバンク監督)と熊本工の伊東勤(現ロッテ監督)が決勝で対戦するなど名勝負が繰り広げられ、「熊本の甲子園」とも呼ばれる。県高野連の工木(くぎ)雄太郎理事長は「藤崎台で、との選手の思いは強い。地震を乗り越えていく姿を全国に見せてほしい」。被災した選手もいる大津高の宮崎雄大主将は「被害の状況から使えないと思っていた。藤崎台は特別な場所。試合をするのが楽しみ」と話した。
県は球場を使いながら復旧工事も進め、年度内に完了させる方針。費用は3億6千万円を見込んでいる。(波戸健一、大森浩志郎)