報道陣に軽自動車4車種の生産再開を表明する三菱自動車の益子修会長(右)と相川哲郎社長=21日、国土交通省
三菱自動車の燃費偽装問題で、同社は21日、「eKワゴン」など軽自動車4車種の燃費が公表値より最大で約17%悪かったとする修正を、国土交通省に届け出た。4月下旬から止まっていた水島製作所(岡山県倉敷市)での生産と全国での販売を、7月上旬から再開することもあわせて表明した。
特集:三菱自動車の燃費偽装問題
4車種は、「eKワゴン」「eKスペース」と、日産自動車に供給する「デイズ」「デイズルークス」。同省が独自に測定したところ、実際の燃費は公表値より約5~16%悪かった。三菱自は車ごとにわずかな品質差がある可能性に配慮し、燃費を公表値より約7~17%下方修正して届け出て、販売カタログの値も直す。「eKワゴン」で最も燃費がよいとされるモデルは1リットルあたり30・4キロから25・8キロに改まる。
4車種は、燃費の元データの改ざんによる性能かさ上げを公表した4月下旬から、水島製作所での生産を中止し、販売も見合わせていた。益子修会長は届け出後、記者団の取材に「7月上旬をめざして作業を進めたい」と語った。地元自治体などからは、地域経済への悪影響を懸念して、早期の生産再開を求める声が出ていた。だが、三菱自への信頼が揺らぐなか、実際に売れるかは不透明だ。(伊藤嘉孝、奥田貫)
生産・販売が止まっていた「eKワゴン」「eKスペース」は三菱自動車の国内販売の4割以上を占め、日産自動車に供給する「デイズ」「デイズルークス」は同社の国内販売の4分の1を占める。停止中はいずれも販売がゼロになっており、両社は再開による回復を見込む。
ただ、販売を再開しても、燃費性能は従来の表示より悪くなり、今回の不正による信用失墜の影響も受ける。三菱自がこれまで明らかにしている軽の新車投入計画は2018年度で、当面は燃費表示が劣る車で競争が厳しい軽自動車市場に挑まなくてはいけない状況だ。益子修会長は「今回(賠償で)10万円を支払った。同じような考え方で提供しないとご理解いただけないだろう。私どもとしてある程度覚悟をしないと公平性に欠ける」と大幅な値下げを示唆した。