フランスのセメント大手が、シリアに持つ工場の操業を続けるため、過激派組織イスラム国(IS)などと取引をしていた、と22日付の仏ルモンド紙が報じた。従業員らの通行の許可をISから受けたり、石油を購入したりしたという。
問題が指摘されているのは仏ラファージュ(現ラファージュホルツィム)。シリア北部アレッポの北東に工場を構えていたが、近郊をIS(の前身組織)が支配下に置くようになったため、2013年にIS側との「取引」が始まったという。
ルモンド紙によると、石灰石を積んだトラックや従業員らの往来に支障がないようIS側に許可を求め、通行証の発行を受けた。また仲介者経由でIS側から石油を買ったり、「税金」を支払ったりし、間接的にISに資金供給した形だという。こうした「取引」は工場の操業を断念した14年秋まで1年余り続いた。ラファージュ幹部も事情を把握していた模様だ。
これに対してラファージュ側は「工場がある地域に紛争が迫るさなかでは、従業員らの安全確保が最優先課題だった」とする声明を出した。ISとの関係については言及していない。(パリ=青田秀樹)