激しい雨で住宅地や田んぼが冠水した=21日午後1時21分、熊本県宇土市、朝日新聞社ヘリから、森下東樹撮影
21日までの豪雨による土砂崩れなどで、熊本県の男女6人が死亡した。県内は一連の地震で地盤が緩んでいた。河川も氾濫(はんらん)し、地震で甚大な被害が出た同県益城(ましき)町、宇土市では広い範囲で冠水した。
目の前に押し寄せた土砂、間一髪の避難
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熊本市北区津浦町の民家では21日、裏山の土砂崩れに巻き込まれた橋谷信人さん(87)、妻ツネ子さん(85)が見つかり、死亡が確認された。
熊本県宇土市では、中口隆道さん(66)と草津信子さん(53)が、それぞれ土砂が流れ込んだ自宅で見つかり、死亡が確認された。
熊本県上天草市でも、岩谷為喜(ためき)さん(92)方の裏山の土砂が崩れ、自宅に流れ込んだ。岩谷さんは土砂の中から発見され、病院で死亡を確認。熊本県甲佐町の曽我収さん(79)は自宅敷地内で水死しているのが見つかった。自宅前の水路があふれ、警戒作業で外に出ていたという。
熊本県大津町では、熊本市と阿蘇地方を結ぶ国道57号の2カ所でがけ崩れが発生。熊本地震で崩落した阿蘇大橋との間にある熊本県南阿蘇村の立野地区が孤立し、14人が大津町に避難した。宇土市では堤防の決壊で広範囲が冠水し、益城町でも木山川の堤防が決壊、孤立する民家もあった。
熊本県甲佐町では国内で過去4番目に多い1時間雨量150ミリを観測した。
県内6市町村の2671世帯、6605人に避難指示が、15市町村の7万1567世帯、17万8981人に避難勧告が出た。128棟の床上浸水、419棟の床下浸水も確認。益城町など7市町村で約1千戸が断水したほか、長崎県や大分県などを含む最大13市町村1133戸が停電した。
一連の地震後、熊本県は土砂災害を警戒していた。蒲島郁夫知事は「地震で県内のいたるところで地盤が緩んでいる。徹底して予防的避難を呼びかけてきた中で犠牲者が出たことが残念でならない」と話した。
梅雨前線は一度南下したが、21日夜から22日にかけて再び北上し、九州付近に停滞するとみられる。熊本県などの北部では、22日明け方から昼ごろにかけて雷を伴う激しい雨が降ると予想されており、気象庁は浸水や土砂災害に警戒を呼びかけている。