ニューヨークのプライド行進で、銃被害に抗議して道路上で横たわる「銃に反対するゲイたち」のメンバー=中井大助撮影
全米各地で26日、性的マイノリティー(LGBT)の人やその支持者による恒例の「プライド行進」があり、主催者によるとニューヨークでは約3万人が参加し、五番街を行進した。2週間前にフロリダ州オーランドの同性愛者向けのナイトクラブで49人が犠牲になる銃乱射事件があったばかり。参加者の多くは銃被害の撲滅を訴えたり、オーランドの被害者を追悼したりした。
今年の行進の先頭には、オーランドの事件の被害者たちの写真を持った人たちが立ち、開始前には黙禱(もくとう)も捧げられた。「銃に反対するゲイたち」のグループは「もう銃はいらない!」と連呼しながら行進。パレードが止まるたびに、銃による被害者と連帯を示して道路に横たわり、「あと何人、死ねばいいのか!」と声を上げた。ジョン・ギブソンさん(59)は「何の罪もなく、犠牲になった人たちを忘れてはいけない」と語った。
行進には、ニューヨークが地元の政治家らも多数参加した。大統領選で民主党の候補者指名を確実にしている、ヒラリー・クリントン氏(68)も一部を歩いた。
全米で最大規模のLGBTのコミュニティーがあるサンフランシスコでも、多くの市民が行進に参加。例年はLGBTの象徴の虹色の旗や仮装をした人たちの列が続くが、今年は先頭にオーランドの犠牲者の写真を持つ人たちの列が続いた。にぎやかな音楽と共に歓声を上げていた沿道の観客も、静かに拍手を送り、犠牲者を悼んだ。2年前までフロリダ州に住んでいたというオスカー・ビラさんは、「オーランドと団結」と書いたTシャツを家族や親戚とともに着て参加。「こうした時こそ立ち上がり、恐怖が支配しないようにしなければ」と話した。(ニューヨーク=中井大助、サンフランシスコ=宮地ゆう)