パナマ市で26日、パナマ運河の拡張工事完了を祝う式典が行われ、開通した新ルートを中国の大型コンテナ船がゆっくりと通過した=田村剛撮影
太平洋と大西洋を結ぶ海運の大動脈パナマ運河で、新たなルートを一部追加するなどの拡張工事が終了し、26日夕(日本時間27日朝)に開通式があった。総事業費52億5千万ドル(約5370億円)。従来の3倍近い貨物量の大型船が行き来できるようになり、日本などのアジア諸国と米国東海岸や中南米諸国を結ぶ海運輸送の弾みになると見られている。
1914年に完成したパナマ運河には、船が通過できるように水面を昇降させる閘門(こうもん)と呼ばれる装置が設置されている。かつては世界最大の豪華客船タイタニック号クラスも通過できたが、時代と共に船舶が大型化し、通れない船が増加。従来の運河に並行して、より大型の閘門を追加するなどの工事が2007年9月から進められてきた。
これまで全長約80キロの運河を航行できた船舶は長さ294・1メートル、幅32・3メートルまでだった。新ルートでは長さ366メートル、幅49メートルの大型コンテナ船や大型タンカーが行き来できるようになる。
パナマ市で開かれた開通式にはパナマのバレラ大統領や、同国と外交関係を持つ台湾の蔡英文総統ら世界各国・地域の首脳が列席。出席者が振るたくさんのパナマ国旗の前を、最初の船舶となる中国の大型コンテナ船が大西洋側から太平洋側に通過。27日から本格運用が始まり、日本郵船が運航する日本の大型船が商船第1号として航行する見通し。
今後は、エジプトのスエズ運河やアフリカ南西端の喜望峰を経由していた大型船舶が、パナマ運河を利用できるようになり、北米からの液化天然ガス(LNG)などの輸送時間やコストが削減できると期待されている。(パナマ市=田村剛)