大阪駅周辺の高層ビル群。多くのビルに高層エレベーターがある=2018年3月、朝日新聞社ヘリから、水野義則撮影
6月18日に最大震度6弱を記録した大阪北部地震では、多くのビルでエレベーターが止まった。復旧に時間がかかり、数日にわたって不便な生活を強いられたマンション住民もいる。エレベーター難民対策も、都市部の地震の課題だ。
国土交通省や日本エレベーター協会によると、地震の被害が大きかった2府3県(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀)で、6万6千台のエレベーターが緊急停止した。稼働台数の約半分にあたるという。一時的に、東日本大震災を上回る339人が閉じ込められた。
エレベーターは強い揺れを感知すると、安全のため自動的に止まる機能がついている。これを復旧するためには、メーカーの技術員による点検が必要だ。かごをつるすロープが絡まっている恐れがあるためだ。
エレベーター保守大手の三菱電機ビルテクノサービスが関西で管理する6万台では、おおむね震度5弱以上だった地域にある2万2千台が停止した。
関西地区に在籍する技術者約1千人が、すぐに手分けして建物をまわった。それでも復旧したのは地震発生から3日後だ。広報担当者は「人海戦術なのでどうしても時間がかかる」。日立ビルシステムやフジテックなども、復旧に3日ほどかかったという。
震度6弱を記録した大阪市北区や西区には高層マンションが多い。ある14階建ての賃貸マンションでは12階に住むという女性が、幼児を抱えて階段を上り下りするのに苦労していた。別の20階建てマンションでは、生協の配達員が野菜や冷凍食品を運んでいた。
エレベーターの復旧の順番は、エレベーター協会が優先順位を決めている。被災地の範囲がさらに広くなれば、復旧までの時間もさらに長くかかる。病気の人などは、低層でも簡単に外出できなくなる。
各家庭ごと、マンションの各フロアごとに、数日分の水や食料など、日ごろから数日間生活するのに必要なものを備蓄しておく必要がありそうだ。(米谷陽一)
エレベーターを復旧させる順番は?
①人が閉じ込められている
②病院など緊急性が高い施設
③自治体などの公共施設
④高さ60メートル以上の高層ビル
⑤そのほかの建物