大阪府北部を震源とする地震の影響でマンションやオフィスビルなどのエレベーターが停止した。大阪府災害対策本部によると、閉じ込め被害が相次ぎ、午前9時20分現在、大阪市で10件、摂津市で4件など計20件に上った。
大阪市福島区のタワーマンションでは一時、エレベーター内に住人が閉じ込められた。住人らによると、エレベーター会社が駆けつけ、扉をこじ開けて救出したという。その後もしばらくエレベーターは使えず、高層階に住む数人が1階ロビーで復旧を待った。31階に住む女性は「用事があって1階まで降りたが、足が痛い。また余震が来たら怖いから、しばらくここで待ちます」と、携帯電話で地震の情報を確認していた。
同区の14階建てマンションに住む女性は、小学1年の長女(6)とエレベーターを降りた瞬間に揺れに襲われた。「みんながエレベーターを降りた後だった。誰か乗っていたらと思うとゾッとする」。エレベーターの復旧の見通しは立っていないという。
大阪府の摂津市役所では、地震発生時の午前8時ごろ、庁舎内にあるエレベーター2台のうち、上階に向かっていた1台が3階と4階との間で止まり、職場に向かおうとしていた男性職員1人が閉じ込められた。市によると、30分ごとに携帯電話で上司と連絡を取り合って、安否を確認していた。午前10時50分ごろ、消防隊が扉をこじ開けて救助し、無事だという。
大阪府豊中市の女性(34)は自宅マンションで、小学1年の長男(6)と同学年の隣人の女の子(6)を登校させようとエレベーターに乗せたところ、強い揺れに襲われた。扉が半開きで止まったため、2人を脱出させた。「数秒遅ければ、子どもたちがエレベーターに閉じ込められるところで怖かった」
大阪・中之島の高層オフィスビルでは、「現在、エレベーターが停止しております」というアナウンスが流れ、1階のロビーや空きスペースで、出勤してきた会社員らがエレベーターが動くのを待っていた。会社員の女性(24)=大阪市福島区=は「家族の無事を確認してから、急いで会社に来た。階段で上がろうと思えば上がれるが、オフィスは22階。動き出すのを待ちます」と話した。
日本オーチス・エレベータ(東京)によると、午前10時現在、近畿2府4県で約1300台のエレベーターが止まり、19件の閉じ込めが発生。復旧作業にあたっている。エレベーターは地震の揺れを検知すると、最も近いフロアに止まるようになっているが、旧型の場合は閉じ込められるケースがあるという。
東芝エレベータ(神奈川県川崎市)は対策本部を設置。技術者を総動員し、停止したエレベーターの復旧作業にあたっている。