プラカードを掲げる集会の参加者=三重県四日市市安島1丁目
■2016参院選 日常を歩く
特集:2016参院選
朝日・東大谷口研究室共同調査
特集:18歳選挙権
選挙運動で最後の日曜日となった3日午後、三重県四日市市の市民公園であった集会を取材した。野党共闘を後押ししている団体が主催し、2千人(主催者発表)が集まったという。
壇上では、三重大学4年の藤沢茉由(まゆ)さん(21)が「みんなのための政治を、いま。」と書かれたプラカードを掲げ、統一候補の後ろに立っていた。
「この前まで、スーツのおじさんが遠い東京でするのが政治だと思っていた」という。環境問題を学ぶうち、すべての問題の判断や決定に政治が関わることを知り、考えが変わった。
「自分の疑問や意見は表明しなければいけない」。今回初めて、政治活動に参加している。
スピーカーの大音量が「力の結集」を訴え続ける。そんな集会の周縁部で、一度は足を止めた男性が女児の手を引き、会場を離れた。後を追って聞いた。41歳、自営業。野党共闘にかける熱い訴えに、男性は冷ややかだった。
「安易だと思うんです。現政権を倒すだけが目的で中身の政策はバラバラ。反対ばかりで、具体的な提言がないでしょう」
今度は自転車の女性が輪を離れた。69歳の主婦。「特定秘密保護法も安保法制も、いまの政権にはだまされっぱなし。なんと言おうと一致団結しなきゃいけないときもある」。決意を固めて去るところだった。
各地で野党が意義を訴え、与党が「野合」などと批判する野党共闘に、市民はどんな意思を示すのか。選挙戦は最終盤を迎えた。(斎藤健一郎)