バングラデシュ・ダッカの襲撃テロで、実行犯らが携帯電話を使い、現場の外の何者かと話していたことが分かった。ダッカ首都圏警察のテロ対策の責任者が6日、朝日新聞などの取材に明らかにした。外部の仲間と連携した組織的犯行の疑いが強まっている。
ダッカ襲撃事件
レストランで起きたテロ事件では、日本人7人を含む客20人が5人の実行犯に殺害された。警察幹部によると客が殺された後、実行犯の1人が携帯電話に向かい、バングラデシュの公用語ベンガル語で「彼らを殺しました」と話すのを人質が目撃したという。
この幹部は「店外の仲間に犯行を報告した可能性が高い。押収した複数の携帯電話の通話履歴にそうした記録はなかったので、スマートフォンの通話アプリを使い、後で削除したのではないか」と述べた。
警察は、実行犯5人が地元の過激派組織「バングラデシュ・ムジャヒディン集団」(JMB)の構成員だと断定。通話相手もJMBの仲間だとみている。JMBをめぐっては、過激派組織「イスラム国」(IS)が「傘下に収めた」と主張している。
一方、現場ではトランシーバー1台も見つかったと5日に内務省が明らかにしていたが、警察幹部はこの日、「現場にいた警官の所持品だった」と明かし、実行犯の連絡用だった可能性は否定した。
6日までの警察の調べでは、現場で射殺されたレストランの料理人の男性は人質だった可能性がある一方で、実行犯の仲間だった疑いも出ている。警察幹部は「銃は持っていなかったが、実行犯5人と一緒に店外へ逃げてくるなど、不審な点がある」と根拠を説明した。このほか、当時、店内にいた地元の有名私立大学の元講師や客、レストランの従業員ら4人の男性も容疑者リストに挙がっており、捜査を進めているという。(ダッカ=古谷祐伸)