米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)は6日、金融政策を決める先月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨を公表した。追加利上げの判断について、17人の参加者はおおむね、英国の国民投票による金融市場への影響の見極めなどを「慎重に待つのが賢明」との見方を示していた。
会合は、英国が国民投票により欧州連合(EU)離脱を決める前の先月14、15日に開かれた。直前に公表された5月の雇用の伸びが減速したことや、英国民投票の影響を見極める必要があるとして追加利上げを見送った。雇用の減速については多くの参加者が「1、2カ月分の指標に過度に反応しないことが望ましい」としながらも、「先行きの不透明感を高めた」と指摘した。ただ、数人は利上げを遅らせることのリスクを指摘する一方、他の数人は景気の下ぶれリスクに言及するなど、意見が割れていることも明らかになった。
英国のEU離脱決定後、金融市場の混乱が続く中でFRBによる追加利上げの観測は急速に後退している。市場の予想では、FRBが年内に追加利上げに踏み切る確率は2割以下に下がっている。(ワシントン=五十嵐大介)