東洋ゴム工業(大阪市西区)の免震ゴムデータ偽装問題で、大阪府警が子会社の東洋ゴム化工品(東京都新宿区)の当時の幹部らから任意で事情を聴いていたことが、捜査関係者への取材でわかった。府警は3月に不正競争防止法違反(虚偽表示)容疑で両社を家宅捜索していた。社員ら数十人からの事情聴取などを経て、不正の構図を明らかにしていく方針。
東洋ゴム化工品は、枚方寝屋川消防組合の新本部庁舎(大阪府枚方市)の建設で2014年9月に免震ゴム19基を納入した際、性能を証明する書類に国の基準を満たしていると虚偽の表示をした疑いで告発されていた。府警はこの事件での立件を見込み、捜索で押収した契約書類など資料数百点を精査。今回、退職者も含む当時の幹部や社員複数人から、経緯について事情を聴いたとみられる。
東洋ゴム工業の社外調査チームの報告書などでは、偽装に関わった疑いがあるのは本社と子会社の計13人(故人を除く)。4人は直接関わり、9人は間接的に関与した疑いがある。
この問題で枚方寝屋川消防組合は先月、新本部庁舎の全面運用が7カ月遅れたとして、損害金約1750万円を東洋ゴム工業に請求し、同社は全額を支払う方針。賠償請求の動きは各地で続いており、京都府舞鶴市の国立病院機構舞鶴医療センターでも、今月2日に完成した新病棟が問題の免震ゴムの使用で工期が約1年延びたとして、損害金の請求を視野に同社と交渉中という。