高校不合格の取り消しを裁判で勝ち取り、両親と記者会見に臨んだ16歳の玉置真人さん(左端)=1992年3月13日、神戸市
25年前に障害を理由に公立高校への入学を拒まれ、裁判で不合格の取り消しを勝ち取った兵庫県尼崎市の玉置真人さんが、今年3月23日、慢性呼吸不全のため40歳で亡くなった。難病と闘いながらも、宇宙物理学への情熱を燃やし大学院まで進んだ。生きる意味を考え続けた人生だった。
真人さんは4歳で体中の筋肉が衰えてゆく難病「筋ジストロフィー症」と診断され、小学4年の時から車いす生活になった。家族や友人らの協力で地元の小中学校を卒業。1991年、多くの友人と一緒に市立尼崎高校を受験した。
だが、結果は不合格。「入試の成績は良かったが、総合判断」という学校側の説明に納得できず、校長と市を相手取り、取り消しと損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。
小学校時代から登下校に付き添った母常美(つねみ)さん(65)は「私が育てた子なのかと思うくらい常に冷静で、声を荒らげたり、感情をあらわにしたりすることがない子だった。私に涙を見せたのは、高校の合格発表で不合格を知った日が最後でした」と振り返る。
裁判は大きく報じられ、支援の輪が全国に拡大した。当時来日した英国の天文物理学者スティーブン・ホーキング博士も、筋肉が動かなくなる難病と闘う立場から「見守っているよ」とエールを送った。
校長側は障害の重さや受け入れ…
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