巨大隕石の衝突で絶滅したとみられる放散虫の化石(電子顕微鏡写真)=熊本大の尾上哲治准教授提供
今から約2億1500万年前(三畳紀後期)の巨大隕石(いんせき)の衝突によって、海洋生物の大規模な絶滅が起きた証拠を見つけたと熊本大や東京大、高知大などの研究チームが発表した。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに8日、論文が掲載された。
研究チームによると、この隕石は推定で直径3・3~7・8キロ。恐竜絶滅の原因とされる6600万年前の天体衝突に次ぐ規模の環境変動が起きた可能性があるが、生態系への影響はよくわかっていなかった。
研究チームは、岐阜県内にある三畳紀後期の地層を調査。海にすむ動物プランクトンで大きさが1ミリ以下の「放散虫」の化石の数や種類を分析した。その結果、衝突前の地層から見つかっていた21種のうち18種が、隕石の衝突を機に絶滅していたという。放散虫は、ケイ素などでできた骨格をもつため化石が残りやすく、こうした分析に適している。
高知大の池原実教授(古海洋学)は、隕石衝突で気候が急変したり、海水の成分が大きく変わったりしたことが絶滅の引き金になった可能性があるとみる。熊本大の尾上哲治准教授(地質学)は「陸上も含めた生物全体にどんな影響を与えたのか、解明してゆく必要がある」と話す。(山本智之)