見つかった鉄隕石(いんせき)=岐阜市の岐阜聖徳学園大
2012年に岐阜市内の畑で見つかった鉄の塊が、約46億年前に誕生した太陽系の微惑星に由来する鉄隕石(いんせき)であることが岐阜聖徳学園大や東京大などの調査でわかった。見つかった地名から「長良(ながら)隕石」と命名された。国内での隕石の認定は04年の「神岡隕石」(秋田県)以来14年ぶりという。
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調査チームが1日、岐阜聖徳学園大で開いた記者会見で明らかにした。12年10月、岐阜市長良宮口町で畑作業をしていた会社員三津村勝征さん(74)が褐色の塊を発見。「つやがあって、きれいだった」ため、自転車のかごに入れて持ち帰り、床の間や玄関のげた箱の上に飾っていた。
約5年後の17年6月、三津村さんは新聞で隕石の写真を見て「これも隕石では」と思い、岐阜県博物館(同県関市)に塊を持参。博物館に紹介された岐阜聖徳学園大教育学部の川上紳一教授(地球惑星科学)に見せ、東京大大学院理学系研究科の三河内岳准教授(地球惑星科学)、国立極地研究所地圏研究グループの山口亮准教授、首都大東京理工学研究科の白井直樹助教、総合研究大学院大学融合推進センターの小松睦美助教による調査チームが分析。その結果、鉄隕石とわかった。
鉄隕石は重さ6・5キロ、縦15センチ、横20センチ、高さ15センチほど。今年2月12日、国際隕石学会によって登録を承認され、長良隕石と名付けられた。隕石の中では「ⅠAB鉄隕石」という分類に入り、国内で初発見になるという。川上教授は「太陽系形成初期に、微惑星が進化する過程を知ることができる貴重な資料だ」と評価している。
三津村さんは「特に石が好きというわけではなく、たまたま持って帰った。30年ほど畑をやっているが、いつから隕石があったのか」と驚いた様子だった。長良隕石は6月30日まで岐阜市科学館で展示される。(室田賢)