6月に長野県の美ケ原で開かれた「登山体力セルフチェック」に挑む参加者=長野県山岳総合センター提供
今年もまもなく本格的な夏山シーズン到来。だが、自分の体力や技術を知らずに登ることは遭難につながる。事前に低い山をどれぐらいの時間で登れるか確認し、体力に合った山やルートを選んで事故を防ごうという取り組みが始まっている。
「私はどの山なら登れますか」。関西山岳ガイド協会の三輪文一会長(67)は山歩きを始めた人からよくこんな質問を受けるが、「10キロの荷物を背負って歩き続ける体力があるかどうかは、実際に登ってみないとわからない」。
ほかのスポーツなら段位やレベルに応じた楽しみ方が出来るが、登山はそうしたレベル分けがない。一方中高年層の登山ブームもあって、警察庁によると、昨年の山岳事故は統計が残る1961年以降で最多の2508件。遭難者(計3043人)の約半数は60歳以上(1565人)だ。
三輪さんは、鹿屋体育大の山本正嘉教授(運動生理学)の協力を得て、六甲山(兵庫県)で標高差約900メートルをどれくらいで登れるか、毎年タイムトライアルを開いてきた。目安にするのは「メッツ」と呼ばれる指標。登山者の心拍数や脱水量などから安静時の何倍のエネルギーを使うか算出したものだ。六甲山だと2時間半以内で登れた人は8メッツ、2時間半~3時間は7メッツ、3時間~3時間半は6メッツとなった。
日本アルプスの難易度の高いル…