中国の不動産・商業施設大手の万達集団(ワンダ・グループ、本社・北京)傘下で米2位の映画館チェーンのAMCは12日、欧州最大の映画館チェーン、オデオン・アンド・UCI(本社・ロンドン)を9・2億ポンド(約1270億円)で買収すると発表した。ワンダが傘下に持つスクリーン数は世界最大となる。
オデオン社は欧州全体で242館、2236スクリーンを運営し、英国やイタリア、スペインなどではシェア1位だ。2012年に中国のワンダ傘下に入ったAMCは、今回の買収でスクリーン数を7600以上に増やす見込みだ。英国が欧州連合(EC)離脱を決めたことでポンド安が進み、「買収の追い風になった」(AMC)という。
ワンダは大型ショッピングモールを多数運営する中国国内でも、最大のスクリーン数を持つとされる。「20年までに世界の映画チケット販売でシェア2割」という目標を掲げ、映画制作側への発言力を増すことをねらう。今年1月には、米ハリウッドの有名映画制作会社、レジェンダリー・エンターテインメントの買収も発表した。
ワンダ創業者の王健林氏は「中国一の富豪」としても知られる。米欧中にまたがる巨大な映画館網を築き、「世界の映画王」への道を着々と歩んでいる。(北京=斎藤徳彦)