モンゴルで開かれていたアジア欧州会議(ASEM)首脳会合が16日、閉幕した。採択された議長声明には、海洋の安全保障について「国際法に基づいた紛争解決が重要」とする文言が盛り込まれ、名指しは避けつつも、南シナ海での中国の領有権主張を否定した常設仲裁裁判所の判決を尊重するよう促した形だ。その裏では、関係国の様々な駆け引きがあった。
安倍晋三首相は16日の首脳会合で「仲裁裁判所の判断は最終的なもので、紛争当事国を法的に拘束する」と主張。さらに「航行、上空飛行の自由は地域の平和と安定に死活的に重要だ」とし、平和的解決に向けた努力の重要性を訴えた。
欧州連合(EU)のトゥスク首脳会議常任議長も同調。閉幕後の会見で「仲裁裁判所の手続きを信頼する。判決が解決の弾みになることを望む」と述べ、中国に判決の履行を促した。
一方、中国の新華社通信によると、李克強(リーコーチアン)首相は首脳会合で、中国が仲裁判決を受け入れない立場を強調した上で、「南シナ海における中国の領土主権や海洋権益は、いかなる状況でも仲裁判決の影響を受けることはない」と述べた。
だが、議長声明は日本などが求…