天皇陛下が「生前退位」の意向を示していることを受けて、政府や与野党から対応を求める声が相次いでいる。麻生太郎副総理兼財務相は15日、天皇に代わって国事行為を行う「摂政」制度に言及した。有識者会議を設け、生前退位の検討を始めるべきだという意見も出ている。
「生前退位」とは何か 歴史や法制度をひもとくと
麻生氏は15日の閣議後会見で、「(天皇陛下が)ご高齢ということを考え、非常に負担がかかるということであればどう対応していくかは政府で考えないといけない」と述べた。その上で、「大正天皇の後半のころも昭和天皇が実質的にしておられた面がある」と指摘。大正天皇の病が重くなった1921年、当時は皇太子だった昭和天皇が摂政に就いたことを例に挙げ、現在の皇室典範にも規定がある摂政を置くことが負担軽減策の一つになり得るとの考えを示した。
また、高市早苗総務相もこの日の会見で「天皇陛下のご公務のご負担を少なくしようということは多くの方が思っている。政府も極力、考えていかなければいけないことだ」と語った。
政府は今のところ、生前退位のための皇室典範改正には慎重な考えを示している。菅義偉官房長官は同日の会見で、政府が内閣官房に置いている皇室典範改正準備室は皇族の減少への対応を検討するものだと改めて説明。準備室で「生前退位」を検討することについては「全く違う」と改めて否定した。そのうえで、皇族減少への対応については「かなり具体的な形で対応することができるように検討中だ。年内というよりも、早急に対応しなければならないという問題意識を持っている」と話した。
しかし、自民党の派閥会長の一人は「(生前退位が)陛下のご意思なら柔軟に対応していかなければいけない」と話す。民進党の岡田克也代表も14日の記者会見で「有識者が議論する場を政府がつくり、しっかり議論して頂きたい。国会においてもしっかり議論していきたい」と語った。