関岡晴美さんと長男=永野弘子さん提供
北九州市若松区で2001年、主婦の関岡晴美さん(当時34)が自宅で殺害された未解決事件から、15年。現場近くのスーパーなど2カ所では、福岡県警の捜査員ら10人が約1千枚のビラを配り、情報提供を呼びかけた。
捜査関係者によると、関岡さん宅には土足の足跡が1種類残っていたといい、県警は単独犯の可能性が高いとみて調べている。靴は中国から輸入されたものとみられ、サイズは25・5~26センチほどという。
県警によると、事件は01年6月29日に発覚。同区青葉台南1丁目の住宅で、関岡さんが胸など数カ所を刺されて死亡しているのを、幼稚園から帰ってきた長男らが見つけた。約3キロ離れた福岡県水巻町のスーパーのATMでは、関岡さんのカードで現金約50万円が引き出されていた。
有力な情報提供には捜査特別報奨金(上限300万円)が支払われる。情報は若松署捜査本部(093・771・0110)へ。
■「なぜうちを狙ったのか」
「少し疲れてきちゃった」。15年という歳月に、関岡晴美さん(当時34)の母、永野弘子さん(72)はため息をつく。8年ほど前から、「犯人逮捕のために」と報道や講演などと表舞台に立ち続けてきた。だが事件は進展しない。「晴美と話したい。晴美の頰に触れたい」という思いが募るばかりだ。
代わりに「母」として育ててきた孫2人が昨春までに東京に生活の場を移し、寂しさもある。体力が衰え、体調も崩しやすい。床につくと晴美さんを思い出して眠れず、3年ほど前から睡眠導入剤を飲む。
15回目の命日。「またこの日が来た。犯人が逮捕されていないことを思い知らされる日です」。容疑者逮捕のため、自らの役割は娘のことを語っていくことだと感じている。この日、亡き娘に呼びかけた。「お母さん、もうちょっと頑張るね。このまま終わるわけにはいかない」と。
「どうしてうちを狙い、母を狙ったのか。犯人に聞きたい」。関岡さんの長男(19)はこんな思いをずっと抱いている。