中部電の東電管内での新料金プラン
中部電力は20日、東京電力管内での家庭向け料金を8月から値下げすると発表した。東電(従量電灯B、C)よりも3~10%ほど安く、「業界トップクラスの低価格」をうたう。国内最大市場での顧客争奪戦が激しくなりそうだ。
新プランは8月から申し込みを受け付ける。従来、主に家族世帯である50アンペア以上に限っていた契約の対象は、単身世帯に多い30アンペアまで広げる。使用量が多いほど割安になるが、基本料金なども引き下げるため、使用量が少ない人も東電より安くなるという。
中部電は4月の完全自由化に先立つ1月、「東電より割安」とする従来プランを発表した。だが、その後他社が相次いでより安い料金を打ちだしたため、東電管内での申し込みは、7月15日時点で約3700件にとどまっていた。今回の値下げで、10万件とする目標の早期達成をめざす。
東電管内の市場では、東京ガスなどの新規参入組のほか、電力大手も北海道と沖縄を除く7社が販売。北海道も参入を検討中だ。6月末時点で、全国の地元電力大手からの契約切り替えが申し込まれた126万件のうち、6割にあたる76万件が集中している。
もともと原発の比率が低い中部電は、原発停止による業績への影響が小さい。世界的な燃料価格の下落で火力発電のコストが抑えられており、他社より値下げ余力が大きくなっている。(大日向寛文)