FOXニュースのロジャー・エイルズ会長=AP
米メディア会社の21世紀フォックスは21日、FOXニュースの会長兼CEOのロジャー・エイルズ氏(76)が同日付で辞任したと発表した。エイルズ氏は同局が1996年に放送を始めてから率いており、米国内の保守政治にも大きな影響を与えてきたが、7月に入ってから元女性キャスターからセクハラをめぐる訴訟を起こされ、他のセクハラの訴えも米メディアに出ていた。
エイルズ氏の当面の後任は、21世紀フォックスのトップの「メディア王」、ルパート・マードック氏(85)が務める。マードック氏はエイルズ氏について「私たちの会社と国に驚くべき貢献をしてきた」とコメントを発表した。AP通信によると、エイルズ氏は辞任と引き換えに少なくとも4千万ドル(約42億円)を受け取り、今後もマードック氏に個人的にアドバイスをすると見られる。
一方、マードック氏の関連会社をめぐっては、息子たちへの世代交代が進みつつあり、米メディアによると父親よりもエイルズ氏と距離を置いているという。エイルズ氏の退任に伴い、FOXニュースの放送内容にも変化が起きるのかが注目される。
エイルズ氏はニクソン、レーガン、ブッシュ(父)と、歴代の共和党大統領のメディアコンサルタントとして有名になり、マードック氏の要請を受けてFOXニュースのトップに就任。保守的な論調の放送内容が受けて、同局は2002年には視聴率がCNNを抜いて米国のケーブルニュース局のトップとなり、以降も守り続けてきた。2016年の大統領選でもトランプ氏(70)はたびたび出演し、共和党内での支持拡大につながった。(クリーブランド=中井大助)