岸田文雄外相は25日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合が開かれているラオスの首都ビエンチャンで、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相と約40分間会談した。昨年12月の日韓合意での慰安婦問題に関する取り組みの着実な履行を再確認した。
日韓外相の会談は同合意以来、7カ月ぶり。冒頭で岸田氏は「日韓合意以来、両国関係は前向きに進展していると感じ、大変うれしく思っている。今年に入り北朝鮮の核実験、ミサイル発射の直後も尹氏とは大変円滑に意思疎通を図ることができた」と述べた。
会談では、韓国側が合意に基づき今月下旬に設立する、元慰安婦支援のための財団の準備状況について説明があった。
日本側は財団に10億円を拠出する。ソウルの日本大使館近くの慰安婦像の移転のめどが立たず、自民党には「移転について確約させるべきだ」との意見がある。10億円の使途として韓国側が元慰安婦らに直接現金を支給した場合、事実上の「賠償」となりかねないとの懸念も日本側にはある。日本側は1965年の日韓請求権協定で賠償問題は「法的に解決済み」との立場をとっている。
核実験など挑発行為を繰り返す北朝鮮への対応も話し合い、岸田氏は日韓、日米韓の連携の重要性を強調した。
仲裁裁判で中国の主張が退けられた南シナ海問題についても意見交換をした。(ビエンチャン=武田肇)