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ハイパーオリンピックに夢中だった理由 ファミ通に聞く

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2016-7-30 13:42:28  点击:  切换到繁體中文

 

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ハイパーオリンピック(コナミデジタルエンタテインメント、1985年)


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ハードウェア性能の限界に挑んだ初期の頃から、現実と見間違うほどのクオリティーを誇る最近のものまで、常に私たちの心を揺さぶり、楽しませ続けくれるゲーム。主要なジャンルのひとつであるスポーツゲームは、様々な形で五輪と関わってきた。両者はどのように交わり、どのように発展してきたのか。ゲーム専門誌「週刊ファミ通」の編集長とデスクに、自身の体験とともに聞いた。


「ボタン連打、スポーツの原点」 遊び変えた五輪ゲーム


【五輪TVゲーム年代記】懐かしのソフトを写真と動画で振り返る



■林克彦・編集長(42)


――業界全体にとって、スポーツゲームはどういう位置付けにあるのですか


家庭用ゲームが登場した初期の頃からスポーツゲームはとても人気が高く、ひとつのジャンルとして確立しています。また、人の記憶に鮮明に残る、というのも特徴のひとつ。たとえば野球ゲーム。あの頃に子どもだった人なら、誰もが遊んだ記憶があると思います。


――オリンピックとの関係はどうでしょう


オリンピックといえば、世界中を巻き込む一大イベント。私の子どものころは、学校で先生が授業中にテレビ中継を見せてくれて、クラスのみんなで応援した、そんな記憶すらあります。


そういった世の中の盛り上がりに、ゲームの世界も当然、無関係でいられるはずはありません。そんな中でゲームとオリンピックを結びつけるきっかけとなり、みんなの記憶に残っているソフトとしては、やはり「ハイパーオリンピック」(コナミ、1985年)が挙げられると思います。とにかくボタンを連打して速く走るといった単純明快なおもしろさは、まさにスポーツの原点。今振り返ってみても、当時の子どもたちが夢中になるのも十分理解できます。


――あの頃のゲームならではの特徴というと、どんなことがありますか


あの時代のゲームを語る上で欠かせないのは、当時の時代背景への理解です。今とは異なり、ライセンスや許諾といったものへの考え方で、あの時代特有の「ユルさ」というようなものがありました。もちろん、これはゲーム業界に限ったことではありませんが。


今では考えられないことではありますが、その一方で、それはあの時代の良さでもありました。そういった社会全体の「ユルさ」のおかげでたくさんのゲームが発売され、子どもたちを通じてオリンピックのムードを盛り上げることに貢献したという部分があるのも事実です。野球ゲームなど他のスポーツゲームも同じような状況にありました。


そんな時代背景があったからこそ、先ほどの「ハイパーオリンピック」のような数々の名作が生まれ、私たちの記憶に残ったのです。そうでなければ、あれだけたくさんのゲームが発売され、スポーツゲームというジャンルそのものが盛り上がることもなかったと思います。


――その後、時代が進み、ハードウェアの性能も大きく進歩しました


先ほど指摘したライセンスに対する考え方も世の中全体で大きく変わり、ゲーム業界もその流れに従った結果、確かにオリンピックに関係するゲームの数は減ってしまいました。


しかし、ハードウェアの進歩に加え、ゲーム制作者の努力もあってスポーツゲームそのものの奥深さや幅が広がり、多様な楽しみ方ができるようになりました。


スポーツの原点のおもしろさとして「単純明快」ということを指摘しましたが、今のゲームの魅力はそこにとどまりません。実際にプレーヤーが動かすゲーム内の登場人物は、それぞれのキャラクターによって特徴付けがはっきりしており、ゲーム内で結果を出すためには単なるキーやボタン操作だけでなく、工夫や戦略といったものが欠かせません。決められたルールの中で何をするべきか、プレーヤーが考えさせられる部分が以前のゲームに比べると飛躍的に増えています。


ただ、「遊び」としての根源的な部分は、実は変わっていません。今も昔も、ゲームをするプレーヤーにとって最大の関心事は「そのゲームをどれだけ極められるか」ということ。そこに情熱を注いだ分だけ、記憶にも残るんだろうと思います。


その根源的な欲求を、いかにテレビゲームの世界に転換できるかが、おもしろさにつながるゲームとしての勝負どころ。かつては8ビットの世界で実現していたものが、今は実物と見まごうばかりのCGになりましたが、本質は同じだと思います。


――リオオリンピックを前に、公式ゲームも発売され始めました


最近のオリンピックの公式ゲームとして、最も注目を集めているのはやはり「マリオ&ソニック」シリーズ(任天堂・セガ、2007年~)でしょう。オリンピックという世界的イベントに対し、同じように世界中で人気があり、日本を代表するキャラクターであるマリオとソニックがタッグを組んだというのは、とてもいい試みだと思います。


そしてその結果として、この2大キャラクターをひとつの画面で同時に見ることができ、しかも関連する数多くのキャラクターも同じゲーム上でそろうという、ゲーム業界からすれば革新的なことが実現しました。このワクワクする感じは、ひとりのゲームファンとしても素直にうれしいです。


――スポーツやオリンピックのゲームについて、ご自身の個人的な経験はいかがですか


子どものころにも様々なゲームをやっていたのですが、個人的にハマったスポーツゲームとしては、セガサターンの「デカスリート」(セガ、1996年)を挙げたいと思います。当時は20代前半で、すでにファミ通編集部で働いていたのですが、仕事が終わった後に会社に残り、同僚とそれこそ翌朝まで腕を競い合いました。


気の合う仲間とゲームをやり込むのは、年齢がいくつになっても楽しいものです。そして、その仲間に勝ちたい、一位になりたいという情熱も子どもの頃と同じ。「コソ練(仲間に隠れてコッソリ練習すること)」もやっていましたし。


――子どもだけでなく、そうやって大人もハマってしまうスポーツゲームの魅力は、どういったところにあるのでしょうか


ストイックに究めようと思えば、ひとりでどこまででもやり込める一方、大勢でガヤガヤとプレーしても盛り上がる、その両方の楽しさが同時に存在するのがスポーツゲームだと思います。


(1)練習を繰り返して上達すると


(2)その技をみんなに見せたくなり


(3)ゲームが終わった後も話をしたくなる


そういった一連の流れが、スポーツゲームの魅力につながっているんだと思います。


――オリンピックやスポーツのゲームは、これからどんな方向に向かっていくと思いますか


ゲームの世界では今、ゲームの大会や競技をスポーツとして捉える「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」という考え方が広がっています。世界的に見ると米国や韓国が先行していて、日本でも少しずつ浸透している状況です。スポーツをゲームで実現するのではなく、ゲームをすること自体がスポーツであるというこの動きは、東京オリンピックがある2020年にはさらに広がっているでしょう。私たちもメディアとして、何らかの企画を考えたいと思っているところです。


もう一つはVR(仮想現実)をゲームに採り入れる動き。いわゆる「酔い」の問題など課題もありますが、技術の進歩も著しく、可能性を感じます。ゲームは基本的に自分の手を動かすものですが、最近では人のプレーをみるという楽しみ方も動画サイトなどを通じて広がっています。VRの発展は、そういった「ゲームを『する』のではなく『みる』」という楽しみ方に、新しい魅力を提供できる可能性もあるのではないでしょうか。



■菊地祐一・デスク(41)


――スポーツゲームはなぜ、我々を引きつけるのでしょう


操作自体はシンプルであるにもかかわらず、ちょっとしたタイミングの違いで結果に大きな違いが出るスポーツゲームは、やり込みがいがあるジャンルのひとつで、無限の楽しみ方があると思います。


また、ゲームを楽しんでいるうちに、そのスポーツのルールや奥深さを理解できるというメリットも見逃せません。それはオリンピックでも同じ。普段あまりなじみのない競技でも、事前にゲームで親しんでおいたことで、観戦の楽しみが何倍にもなったという経験は、多くの人にあると思います。


――ご自身ではどんな思い出がありますか


編集長も挙げていた「ハイパーオリンピック」は、私もよくプレーしました。ただ、私の場合はファミコンよりも、むしろゲームセンターでやり込んでいた記憶があります。


当時はまだ家庭用ゲームのハードの限界もあり、時代の最先端を走っていたのはゲームセンターにあるアーケードゲーム。ハイパーオリンピックに関しても、ゲームセンターではファミコンで発売される2年前から遊ぶことができました。


当時はまだ小学校の低学年でしたが、ゲームセンターに通ってよくプレーしました。当時流行した「定規を利用したボタン連打」もゲームセンターで覚えたと記憶しています。この方法を使うと、走る速さのレベルゲージは振り切れてしまうため、好結果を出すカギはジャンプするタイミングのみ。よりシビアさが求められ、まさにオリンピックに出場するアスリートのような気持ちになって遊んでいたことを覚えています。


――あの情熱の源は何だったんでしょうか?


今はゲーム以外にも様々な娯楽があふれていますが、あの頃のエンターテインメントはゲームが支配的でした。そのなかで「明日は友達に勝つんだ」という気持ちが自然にあふれ、私たちを突き動かしていたのではないでしょうか。(聞き手・田之畑仁)




 

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