東京・霞が関の経済産業省の敷地にテントを設置して脱原発を訴えているグループに対し、国がテントの撤去と損害賠償などを求めた訴訟の上告審で、グループ側の敗訴が確定した。最高裁第一小法廷(大谷直人裁判長)が7月28日付の決定で、グループ側の上告を退けた。
敗訴が確定したことで、今後国が申し立てれば、テントの撤去と土地の明け渡しが強制執行される。約5年間の敷地使用料と、年5%の遅延損害金の計約3800万円の支払い命令も確定した。
一、二審判決などによると、グループは東日本大震災から6カ月後の2011年9月11日に、経産省の敷地の一角にテントを設置。国の原子力政策への抗議活動などをしてきた。
昨年10月の二審・東京高裁判決は、テントを訪れた震災の被害者が交流したり議論したりすることで有益な場となっていた面がある、とグループ側の活動に理解を示した。一方で、そのことで敷地の使用が法的に許されることはない、と指摘。「憲法が保障する生存権に基づいた、原発に反対するやむにやまれぬ活動だ」とするグループ側の主張を退けたうえ、敷地の使用料が年額800万円に上るとして、1日あたり約2万2千円の支払いを命じた。
決定について経産省は「国の主張が認められ、極めて妥当な決定。被告らが最高裁決定を厳粛かつ真摯(しんし)に受け止め、直ちに土地を明け渡すことを強く求める」とする談話を発表。グループ側代理人の河合弘之弁護士は「脱原発の闘いの正当性が認められず、誠に遺憾。テントの人たちは最後まで闘い、任意で立ち退くことはしない」とのコメントを出した。