リニア新幹線の車両=山梨県都留市
関西の経済団体などが求めるリニア中央新幹線の東京―名古屋間と名古屋―大阪間の同時開業について、JR東海の柘植康英社長は3日、大阪市内での記者会見で「とても無理」と述べた。先行する東京―名古屋間には南アルプスを貫く難しいトンネル工事などがあり、大阪延伸の工事は同時には進められないという。
特集:リニア中央新幹線
“テツ”の広場
大阪延伸をめぐっては、政府が財政投融資制度を使って、JR東海の資金負担を大幅に軽くする支援策を経済対策に盛り込んだ。これにより名古屋―大阪間の工事着手は、予定していた2035年から最大8年前倒しされることになる。
延伸工事の環境影響評価について、柘植社長は「工事開始の約4年前には手続きを開始する」と述べ、早ければ23年にも始める見通しを示した。ルートについては「奈良市付近を前提で作業を進める」と語り、京都市などが求める京都府を通るルートへの変更案には否定的な考えを示した。
一方、大阪府の松井一郎知事は3日の記者会見で、前倒しを「ありがたい話」と評価。「同時開業は厳しいだろうという雰囲気はみんな持っていた。8年前倒しを『10年』『15年』(前倒しへ)と求めていく方が説得力がある」と述べた。